■[メモ]「職場」というマジックワード/バズワード 「これまでの日本の労働問題研究で用いられてきた主要な分析の枠組は,重工業大経営での労務管理や労使関係に注目する際に,職場のあり方に焦点を当てて分析を行うという特徴を持っていた.職場はいくつかのレベルで捉えられ得るが,これまでの研究は職長(作業長)といった第一線の監督者に率いられた職場単位に目を向けて,そこで新技術導入によって旧来の熟練が解体される姿や,OJTによって新しい熟練が形成される姿を描きだし,そうした熟練のあり方をベースにして職場秩序を明らかにし,さらには職場のあり方から事業所レベルの労使関係を説明してきたのである.甚だしい場合は,特定の職場秩序を取り上げることで,当該企業のみならず,その企業が属する産業の「労働問題」が説明されさえした.いささか誇張すれば,研究は代表的な単一職場の中にその時代の労働問題を明らかにする鍵が隠されているとの分析視角から進められたのである. こうした観点の形成に大きな影響を与えた氏原正治郎の論文「わが国における大工業労働者の性格」は, 1950年代の京浜工業地帯の鉄鋼,電機など4つの企業を取り上げた
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